犬ヶ岳一ノ岳(1124m)〜求菩提山(782m)

【前書き】
 中国地方は相当雪が降ったようなので、臥竜山に行っても埋もれて登れないだろうと想像して、近場の求菩提山に登ることにしました。求菩提山だけだと歩行距離も短いので、一ノ岳まで登って、尾根を辿って求菩提山へ行くことに。今日は五窟めぐりも目的の一つです。

【年月日】’12.1.28(土)
【同行者】単独+案内犬
【コースタイム】公共駐車場(9:05)→犬ヶ岳登山口駐車場(9:20)→恐淵(10:30)→経読林道(10:48−12:23)→大竿峠(12:48)
          →一ノ岳(13:13)→杉ノ宿跡(14:03)→虎ノ宿跡(14:47)→護摩壇跡(15:15)→阿弥陀窟(16:00)→公共駐車場(16:30)        

【写真と解説】


 公共駐車場には雪は全然ありません。久々に重登山靴を履いて、スパッツを着けて、上着はフリースで出発です。15分で犬ヶ岳登山口駐車場に着きましたが、車は一台もありません。
 恐淵コースを登ろうと登山口のやまめ料理屋の方に近づいていくとワンワンと鳴きながら犬が走ってくる気配。放し飼いの犬か、野犬か、と身構えていると一匹の犬が寄ってきた。知らんぷりしていると登山道を一匹で走っていった。
 このコースは昔と微妙にコースが変わったような気がするのですが、川を渡る場所で「こんなコースだったかな?」と不安に思っているとその犬が待ってくれていました。ひょっとしてこの犬は“案内犬?”。取りあえず、この犬の後から歩いていくことにしました。


 犬の方が歩くのが相当早いので、一緒に歩くことはありません。犬は先に立って歩きながら時々こちらを立ち止まって見ます。だいぶ先まで行って姿が見えないことの方が多いです。私は犬の足跡を見ながら歩いていきます。恐淵の鎖場に着きました。犬の足跡は川とは逆に上に登っていたので、犬はここで諦めたか、高巻くのかな?と思っていたら、私が川を渡ろうとしているのを見てか、じゃぶじゃぶと川の中を歩いて渡っていきました。


 川を渡ったのは良いが、岸の取り付きは結構急です。雪でどこが道か分からないので迷っている間、犬は上で待っています。ちょっとコースが違うかな、と思いながら犬の足跡をたどって登り始めましたが、明らかに登山道ではない。倒木はあるし、滑って川に落ちそうになるし。犬は倒木があってもその下をくぐっていけるのですが、人間はそうはいきません。


 鎖場は何とか過ぎて、その後は順調に歩いていましたが、本格的な倒木群が道を塞いでいました。犬の足跡は倒木の下を真っ直ぐ進んでいますが、私はくぐれません。倒木を避けてどんどん上に登ります。倒木群を越えて、本来の登山道に戻ろうとして犬の足跡まで戻ったのですが、何かおかしい。人間が通れるだけの道幅がない。犬の道案内も当てにならない。そもそも犬は先に行ったらしく姿も見えない。雪のために登山道がどこか全然わからない。赤いテープは元々あまりない。どうしようかと地図を出して、確実にコースに戻るには、目の前の尾根を直登して経読林道に出るのが一番と判断。犬を呼び戻そうと口笛を吹いたり、「おーい」と声を出していると犬が戻ってきた。「上に行くぞ」というと犬は意味が理解できるのか、登山コースでも何でもない尾根を登り始めた。ウサギの足跡と犬の足跡があるが、ウサギの足跡の方が人間の歩きやすいコースと一致している。


 林道に出る手前100m位は急傾斜になって相当苦労しました。犬ともはぐれて、やっと林道に出ると、犬の方が先に林道に出たらしく足跡が幾方向にも付いています。私を探してうろうろしたようです。私がまた「おーい」と何度も呼ぶと林道下のやぶの中から出てきました。やはり犬は先に林道に出たのに、私を探しに再び林道下に降りていたのでしょう。見知らぬ犬ですが、私たちはもう一体です。
 上の写真は林道から見た一ノ岳と求菩提山を結ぶ尾根です。


 犬は先に林道をどんどん歩いていきます。私が遅れて歩いていくと犬は恐淵への下山口に伏せて待っていました。恐淵からなので本当はここに出てくるはずでしたが、相当東にずれて登ったことになります。犬はもう帰りたいのかもしれないと思いながら、「俺はこっちに登るぞ」というと案内犬は再び先に立って歩いていきます。この案内犬はどこまでついてくるんだろう。こちらが少し心配になってきます。


 いつまで写真を撮っているんだ!眠るぞ!と言っているのでしょうか。


 まだ〜?という感じかな。


 この案内犬、コースの分岐ではちゃんと待っていてくれます。大竿峠でも一ノ岳でも私が着くまで待っていてくれました。写真は一ノ岳です。案内犬は喉が乾いたら雪を食べています。体を見ると相当歳を取っているように見えるのですが、案内犬もこの辺に来ると相当疲れたような感じです。


 一ノ岳の木々です。今日は私たちだけのようです。案内犬と話をしながら、こういう登山も楽しいです。


 一ノ岳からは、案内犬もこの辺の道も知っているのか、「尾根道よりも楽な林道を歩こう」と私を誘導するので、私も付き合って林道を歩きます。一箇所林道の分岐で案内犬が伏せて待っていたのですが、その分岐がどこに通じているか分からなかったので、そちらには行かなかったのですが、案内犬は口が利けないのが残念です。
 杉の宿跡に着きました。案内犬もへばって来たようです。
 この後、護摩壇跡でトラブルがありました。案内犬はずっと先の見えない場所を歩いていたのですが、犬のキャンという鳴き声がしたので、不安になりながら護摩壇跡まで来ましたが、案内犬がいません。コースの分岐やベンチのある場所では必ず待っているはずなのに、いくら呼んでも口笛を吹いても来ません。先ほどの犬の悲鳴は、ひょっとしたら猪の牙に突かれたのではないか、鹿を追いかけて急坂を転げ落ちたのではないか、などと心配になり、護摩壇跡に荷物を置いて引き返して見ましたが、どこに行ったのか分かりません。案内犬の足跡は護摩壇跡まで来ていないので、その手前で何かあったとしか考えられません。


 これは案内犬の飼い主には悪いことをしたな、と思いながら五窟の方へ下っていると下から案内犬が登ってきました。案内犬が無事でほっとしました。
 今日の登山も終盤になりました。今から五窟めぐりです。最初にあるのが大日窟です。


 普賢窟です。近くの普賢の滝や岩に染み出す水は氷結していましたが、融け始めていました。


 多聞窟です。


 吉祥窟です。


 最後の阿弥陀窟です。下山路を数十m行き過ぎたところにあります。今日は求菩提山にも登ろうと思っていたのですが、止めました。
 案内犬は私が写真を撮り終わるのを伏せて待っています。


 案内犬との山行もここで終わりです。駐車場まで着いてくるかと思っていたら、橋の袂でうろうろした後、橋を渡って自分の家に帰っていきました。別れが寂しかったです。また逢いたいものです。 


 公共駐車場はがら空きです。靴を履き替えていたら求菩提山からだと思いますが、団体の登山者が下りてきました。鹿児島ナンバーのマイクロバスでした。

【後書き】
 昨年も犬ガ岳の雪の中で道に迷いましたが、今回も案内犬と共に迷ってしまいました。案内犬は正しい道を知っていたと思いますが。身近な山でも積雪時は注意しましょう。案内犬の話は昔、九重にいたように聞いていました。今回、はじめて案内されましたが、本当に楽しく登ることができました。いつまでも元気で。

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